さて、日本酒の名産地、と聞いてどこを思い浮かべますか?
新潟?山形?そうそう、米と水がおいしいところですものね。
しかし、日本酒を語るうえで欠かせない場所、それは京都!
現在の日本酒の生産量は全国第2位。
そして1,000年前の政治と文化の中心の地。
技術力が要る日本酒も多いに関係が深いんです。
平安時代の朝廷での規定が記録されている「延喜式」なる書物(905~907年)に日本酒の記述が出てくるそうな。
さまざまな酒造法や目的によって4種の酒があることなどが書かれているそうで……いや~当時の人も色々な工夫をしていたんですね。
酒で酒を仕込む、という貴醸酒なこともすでにやってたっぽいです。
なんたる技術力!!
さて、そんなこんなで平安からの室町幕府が開かれたころ、京都には約350軒の酒蔵があったというから驚きます。
前のコラムにも書きましたが、現在の埼玉県で35蔵ですよ?
その十倍が京都にあったというから、街じゅうが酒臭かったりして。
さて、京都の中でも特に日本酒で有名な地は伏見。
京都駅のちょっと南、伏見稲荷のあるあたりです。
伏見は「伏水」と表記されていたくらいの、豊かな水どころ。
つまり、おいしい酒どころとなったわけです。
「灘(現在兵庫県)の男酒」「伏見の女酒」なんていわれるように、
伏見の水は、硬度低めのやわらかい水質が特徴。
なんといいますか、冷蔵してても冷たく感じず、するすると身体に吸収していきそうな、あの軟水がお酒になったかんじ。
いいですねえ。
ちなみに灘は太平洋に面しているため、船での輸送がしやすいこともあり、
江戸時代になると江戸へ向けて大量の日本酒が出荷されました。
当時、上方(京都地方)から江戸へ下ってくる「下りもの」と呼ばれる技術力の高い工芸品や着物、
日本酒がもてはやされていたそうです。
下りもの、くだりもの……。その反対は?
カンの良い方はおわかりでしょう。
いま使われている「くだらない」という言葉は、下りものではないという意味から
取るに足りないという意味になったそうですよ。
うんちくが長々しいですが、そんなわけで私、京都に行き素敵な日本酒と出会ってきました!
敢えて銘柄の下調べをせず、カンで飲んで「これだ!」と思った一本……!
出会いに燗無用……じゃなくて感無量です。
それが松本酒造株式会社の「愛山 純米酒 桃の滴(もものしずく)」。
「愛山(あいやま)」とは、酒米の品種のこと。
なになに、スター酒米、山田錦と雄町の孫にあたると(現在の酒米はだいたいこの二種の親戚)。
兵庫県で誕生したもので、栽培が非常に難しいと。
剣菱さん(有名な酒造メーカーさん)がひっそりと栽培し、生かしてきて、十四代(超絶人気の日本酒。もしかすると日本一人気)が愛山をつかったことでブレイクしたと。
……なんてうんちくは脳みそから消してOK!
とりあえず、おいしいから飲んでみて!
爽酒というより、醇酒?いやその間?
びっくりしたのは、メリハリのある味。
日本酒度をみると「+2」なのですが、感じるのはコクのある甘さ。
そしてグッとくる深みのあとに、サラッとキレるというわけで、たまらないんでございます。
伏見の女酒~なんてイメージで、ゆるゆると飲めてしまうお酒を想像していたのですが、まったくチガウ。
女の人にもいろいろいるように、伏見の酒も一辺倒ではないようです。
むかし紹介した写樂に味が似ている(メロン香をのぞいたような)……なんて言ったら各方面からおしかりを受けそうですが、
とにかく良い、酔い!
というわけで、出合ったきっかけである話題のお店をご紹介しますね。
ひとまず、乾杯……ではなくグッバイ!また会いましょう。
この記事へのコメントはありません。