目的の山が決まったら、いよいよ装備を準備します。
<まずは代用品でOK>
登山用の装備と言っても、最初からすべて揃える必要はありません。子供の頃に遠足で山に登ったことがある方は分かると思いますが、わざわざ遠足登山のために専用の登山用品を新調したりはしないですよね。高尾山のように舗装された登山道や、ハイキングであれば普段から履きなれているスニーカーやリュックサック、スポーツウエアでも十分に代用は可能です。もし、代用できるものが無ければ購入し、代用できるものがあれば、登山のレベルに合わせて道具もステップアップしていくと良いでしょう。
<登山用品が必要な理由>
とはいえ、登山は初心者向きの山だったとしても常に危険が伴います。それゆえに登山用品は専用品も多く、それなりの機能があり、便利であり、専用品である意味があります。
そこで登山をする状況をもう一度思い出してみましょう。登山は自然を相手に楽しむレジャーですよね・・身の安全はもちろんのこと、天候にも気を遣う必要があります。春や秋の早朝は寒かったり、真夏は汗を大量にかきます。山の天気は変わりやすいので突然の風雨も想定する必要があるでしょう。頂上を目指すわけですから、荷物が重いと体力を早く消耗しますし、そもそも普段使いの小さいザックには道具が入りきれないかもしれません。木の枝が出ていたり、岩がゴツゴツしている登山道もあるので薄い素材だと裂けたり穴があいたりします。
上記の点から、登山用品は基本的に安全性に考慮されつつ、丈夫で、軽く、水濡れに強いです。繊維素材でいうと速乾性、透湿性(ムレ対策)、保温性、ストレッチ性なども強化されているので、可能であれば装備は専用品で整えたいものです。
<専用ブランドが普及している>
登山=スポーツとするならば、少なくともウエア類に関しては、値段の安いナイキやアディダスのような一般的なスポーツブランドでも良いのでは?と思いますよね。ウエアに関しては素材さえ間違えなければ、そのようなスポーツ用品の代用でまったくかまわないと個人的には思っています。ところが実際に登山をされている方を見るとわかりますが、スポーツブランドを着ている人は以外と少ないことに気づきます。その反面、やはり登山用のランナップがあるアウトドアブランドを身にまとっている方がとても多いです。とくに女性の場合はとてもオシャレに着こなしている方が多いです。あのスタイルを実現にするにはやはりアウトドアブランドでないと出せないかもしれませんね。「山ガール」という言葉に代表されるように、登山というレジャーが女性の間でもブームになっていますから、メーカー各社も女性向けのオシャレなデザインに力を入れているようです。それに、アウトドアブランドの場合は、細かい規格が登山者向けに考えられているので、製品への信頼性はアウトドアブランドの方がどうしても高くなります。製品案内にしても、登山を想定した内容になっているため、実際に使用した時のイメージがしやすいのも一般的なスポーツブランドよりもアウトドアブランドの方が普及している理由かと思います。
<登山用品の値段は高い>
登山用品店やアウトドアショップに行くとわかりますが、「値段が高いな~」と感じるかもしれません。
「良い商品=高機能=値段が高い」という図式が成り立ちやすいものですが、登山用品に関しては際立っているかもしれません。
例えば、レインウエア。コンビニや100均でもレインウエアが売っています。いっぽう、アウトドアショップでは高いものはジャケットだけで数万円近くするものが売られています。パンツも合わせると・・本当にビックリするぐらいの金額です。同じ雨具とはいえ、これほどの差があるのはなぜでしょうか?詳細を書くと長くなるので別記事にて書きたいと思いますが、簡単に言うとこれも機能の差が大きいです。(もちろんブランドのネームバリューもありますが)
ただし、登山用品はとても丈夫なので、メンテナンスをしっかりやることで長い期間使用できます。アウトドアブランドの製品であれば、登山に限らず野外レジャーで使いまわしができます。野外フェス、キャンプ、釣り、スキースノボ、自転車、子供の運動会や公園遊び、お散歩からハイキングまで、どのような場面でも野外レジャーにおいてはオシャレな演出が可能だと思います。そのあたりのコストパフォーマンスを考慮して、(もし余裕があれば)値が張っても自分のお気に入りのものを購入しておいたほうが良いと思います。
<基本装備と持ち物リスト>
登山に必要な装備や道具は、日帰りなのか山小屋泊なのか、それともテント泊なのか、季節はいつなのか、によっていくつかスタイルがありますが、基本的な装備・持ち物はそれほど変わりませんのでまずは下記リストを見て揃えてみてください。
「登山の三種の神器」とも言える「登山靴・ザック・レインウエア」の3点についてはネット通販ではなく必ず実際に登山用品店で買うようにしてください。サイズが合わなかったら悲惨なことになります。
(※各用品の詳細は別記事でご紹介します)
■装備品
- 登山靴:日帰りや低山であればミドルカット~ハイカットの登山靴。防水性の高いもの
- ザック:日帰りだと20~30リットル程度のもの
- 雨具(レインウエア):上下別々のセパレートタイプで防水性が高く蒸れにくいもの
- ザックカバー:ザックの中が雨で濡れないように、ザックにかぶせて使う。ゴミ袋でも代用可
- ヘッドランプ:山は暗くなるのが早い。万が一のために備える。両手が使えるヘッドタイプ
- 地図、コンパス:道に迷った時のためにあらかじめ地図が読めるように練習しておく
- 登山計画書:遭難した時のために家族共有用、提出用、自分用と3部用意しておく
- 携帯電話:遭難した時の通信手段。主にGPS機能搭載の登山専用の地図アプリと写真撮影用に
- モバイルバッテリー:登山用のアプリや写真、山間部での不安定な通信は電池の消耗が激しいので
- エマージェンシーシート:緊急時に使用する保温性の高いシート、小さくて軽いので一つ入れておく
- タオル・てぬぐい:汗を拭いたり、首に巻いて日焼け対策に。緊急時にも役立つ
- コインケース:山小屋での食事やお買い物用に。有料のトイレ用に硬貨も少し入れておく
- ウェットティッシュ:食事の際や、ケガをしたときにも使えるので便利
- ティッシュ:トイレに紙がない場合があるのでポケットティッシュを携帯しておく
- 行動食:登りながら食べる。チョコやナッツ、ドライフルーツなどカロリーが高く食べやすいもの
- 非常食:万が一の時に昼食や行動食とは別に用意しておく。
- 水筒:シーズンによって量を分ける。ペットボトルのままだと軽くて楽。傷口の洗浄にも
- ビニール袋:ゴミ袋用や濡れた衣類を入れる
- 日焼け止め:山の日差しは強いのでUV対策は必須。汗で流れるのでこまめに塗りなおす
- 保険証のコピー:保険証かコピーがあると安心
- 薬(常備薬):腹痛時の下痢止めや鎮痛薬・解熱剤があれば安心
- 虫よけ:夏は蚊がいるので虫よけしておく(登山口の駐車場とか、登山中の休憩時)
- ファーストエイドキット:消毒液や絆創膏などケガに備える状況によって用意する
- 筆記用具:インクの場合は濡れないようにジップロックなどに入れておく
- ライター:緊急時に暖をとるため。火事には注意
■服装
- インナー:汗をかいた後に冷えるので、乾きやすい素材もの
- 登山用シャツ:インナーと同様に乾きやすい素材のもの(日焼け・虫よけのため長袖推奨)
- トレッキングパンツ:伸縮性があり乾きやすい素材のもの
- 機能性タイツ:筋肉や関節をサポートしてくれる。短パンの場合の組み合わせも〇
- 防寒着:フリースかダウンなど保温性の高いものを一枚入れておくと安心
- 帽子:日焼け対策用に。通気性がよく首ひもがあるもの。冬はニット
- 靴下:厚手のもの。登山用のものは疲れにくく防臭効果が高い
- 腕時計:登山計画どおりに進んでいるか確認するため。バックライト・防水機能があると良い
- 手袋:冬の寒さ対策と、日焼け対策としてあると便利。手のケガ防止にも
- 着替え:汗や雨で濡れた時に1セットあると心強い
■あると便利なもの、必要に応じて用意する装備
- トレッキングポール:脚力のサポートになるので便利。下山時は膝の衝撃を抑えてくれる
- ゲーター:雨や小石がシューズ内に侵入しないようにするためのグッズ
- サングラス:山間部の日差しは強いので目の保護用に
- カメラ:登山の思い出用に。スマホでも代用可
- 携帯トイレ:すべての山にトイレがあるわけでないので、万が一の時には使用する
- 軽アイゼン:シーズンによっては登山道が一部凍結している場合などに使用する
- 折り畳み傘:最初から雨天が想定される場合にバス待ちの待機や舗装された道で使う
次回から、上記にあげた登山グッズをもう少し掘り下げてご案内してきます。
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