宇宙なる日本酒は不思議がいっぱい。
栓をあけて時間がたつうちに味が変わっていく、
その過程がはっきりわかる日本酒があります。
ずばりこちら、風の森 秋津穂 純米。
以前にもレア日本酒として登場した風の森。
そのときは京都の酒造好適米である「愛山」バージョンをいただきました。↓
が、風の森を作っている油長酒造株式会社は奈良県にあり、
せっかくなら奈良県の酒造好適米「秋津穂」で醸したお酒が飲みたい、だってそれがスタンダード……!
飲みたい……!飲みたい……!
で、念願かなって手に入ったというわけです(意外とあっさり)。
さて、TOP画像と同じですがこちらをご覧ください。
風の森のフタを上から撮ったもの。
はい、斜めから撮ったもの。
お分かりになりますかね、通常の日本酒の栓の上からプラスティックのカバーががっちりはめられ、頑丈なつくりになっています。
それというもの、生酒であるため、
酵母ちゃんがまだ生きている、発酵が止まってない、
ゆえに酵母が作った二酸化炭素ががたまっていき、通常のフタだとボンッ!て噴き出すおそれがある、と思われます(推測)。
この生きた酒と書いて生酒。
各蔵で出していて、一般的にフレッシュな味わい、私は「高校生のような味わい」と勝手に呼んでおります。
ではひとくち……
うう~~ん?こ、これは……!?
強い、パンチが強すぎる……!!
甘い、苦い、辛いがガッチャーンガッチャーンと主張し、
なんだか口の中で色々せめぎあう
「激しい味」です。
うまい…のか?
ラベルを見ると、「超硬水」、硬度214㎎/L前後と表記されています。
出ましたね、カルシウムとマグネシウムの含有量で変わる硬水と軟水。
しっかしどのくらいの超硬水なんじゃろ……前に飲んだ軟水仕込みの「梅ヶ枝」の回にて確認してみると…↓
梅ヶ枝は、29~39㎎/ℓ。
ちょっ……ということは、「風の森 秋津穂」は
梅ヶ枝の7倍くらい硬い。
男酒といわれる灘の酒で115.7mg/ 1ℓほどだから、
「風の森 秋津穂」は男の中の男!?
むしろ、漢(おとこ)。
※イメージです。
ここで思い出しました。
唎酒師の講習で
「硬水だと、酵母ががんばって醸してパワフルなお酒をつくる」と、
とある酒造のスターがおっしゃていたことを!
腑に落ちました、これが「パワフル」……!
これがパワフルな味……!!
ウォ、Water……!(←ヘレンケラー)
そして私は、開栓から徐々に変わっていく味を楽しむことにしたのです。
「はじめは搾りたての味わいを、(炭酸ガスが)消えたあとはいっそう円熟した味をお楽しみください」とあるように。
1日目
綿あめのような、カスターだクリームのような甘い香り。
ビリビリとした強烈な甘さを感じたあと、強烈な苦み、カッと苦みを残したキレ。
2日目
香りに透明感が出て、飴、ザラメ、砂糖菓子、マンゴーのような香り。
前日よりビリビリした強烈さは抑えられ、カステラのような甘みとコク。
3日目
ピリッと感は消え、甘味と辛味が同等で表裏一体。どちらの味を捉えようとするかで印象が変わる。
そして8日目
アタックに感じるのは強い甘味。
苦みや辛みはかなり影をひそめて、丸い甘味が残る。最後に若干の苦みでキレ、じわ~っと旨味が残る。
……というわけで、
漢のなかの漢である風の森 秋津穂 は
徐々にまあるく甘く変化していったのでした。
※イメージです。
さて、こんな個性あふれるお酒はそのまま飲んでもいいのですが……
こちらも個性あふれる魚介ソーセージを焼いてみました。
三陸のおみやげにいただいたもので、ほかに何種類かあり、それぞれにパンチのある味がします。
パンチとパンチの打ち合い……なかなか良し!
ただ惜しむらくは、もっと味の変化を楽しみたかったのに
8日で飲み切ってしまったということ………!!
もっと飲みたかった……涙。
(これでもがんばりました)
生酒は基本、劣化していくので、ものすごく苦くなったり、すっぱくなったりするのがスタンダード。
そんななか、まさに円熟の味にかわっていく風の森の底力。
人気でレアな理由が分かったように思います。
この記事へのコメントはありません。